【 木造免震住宅 】
青森市に建つ木造免震住宅です。木造免震住宅の場合、間取りに制約のある「限定プラン」が多いのですが、当事務所では「安心・安全」と「自由なプラン」の両方を青森県内で初めて実現することができました。(平成18年4月当時)
設計時、お客様は県外にお住まい。設計者がお客様に代わって、設計から完成までを行いました。
1. 免震住宅とは
近年、地震災害が多発していることから、地震に対する住宅の安全性に強い関心が寄せられています。「家具が倒れてきたらどうしよう」「ドアは開けられるだろうか」「家財がメチャメチャになると経済的打撃が大きい」など様々な心配がありますが、免震住宅にすると、震度4以上の地震であっても家自体は1/3~1/7程度しか揺れません。家具が倒れたり、ドアが開かなくなったり、家財が破損する心配が無いので、あわてて避難しなくても「安全」なのです。
免震住宅には、①地質調査(ボーリング調査)②構造計算 ③免震装置本体 ④鉄骨フレーム、これらの費用が通常の工事金額に追加で必要となります。
大まかな額ですが、①~④の合計で床面積40坪の総2階建で300万~350万円、床面積60坪の総2階建で450万~500万円の費用が免震設置分としてかかります。(免震住宅の費用は建物形状・地盤の固さにも影響されますので、詳しくは当事務所までお問い合わせ下さい。)
2. 免震装置のしくみ
こちらの免震装置は、地震時にすべり面がスライドするタイプのものです(可動領域は最大40センチメートル)。
では、実際に免震住宅を建てていく様子をご紹介します。
大きなコンクリート基礎に免震装置が取付けられています。
この黒い面がすべる事により地震の揺れを伝えにくくします。触った感じはフライパンのテフロン加工のようにツルツルしています。
計算された間隔、個数で整然と免震装置が並べられています。上屋全体の重さを、免震装置が支えることになります。
免震装置の上にはまず鉄骨の土台を取り付けます。その上に改めて木の土台を組んでいきます。
地震時にはコンクリート基礎と鉄骨土台に乗った木造部分が別々に振動し、居室に揺れが伝わりにくい構造となっています。
鉄骨土台より上は、一般の木造住宅と同じ構法で建てていきます。
玄関ポーチは地面より少し浮いた状態となっています。地震時に建物が動いても壊れる部分を最小にするために、免震装置の可動域分のクリアランスを取ります。
室内は、リビングが大きく吹き抜けたおおらかな空間になっています。
リビングの一角にはグリーンを育てられるようなサンルームコーナーがあり、隅部でも壁をなくして大きな窓をつけています。窓の袖壁にはガラス面がフルオープンにできる引き込み板戸があります。
引き込み板戸を閉めると、室内側にセットされた雨戸のようになっています。防犯・防音対策にも一役かっています。
2階にはトレーニングルームがあります。重いマシーンが複数ありますが、免震住宅なので地震時にマシーンが転倒したり、床を滑り出す心配がありません。
敷地は海に近い場所なので、窓は樹脂サッシを採用し、外壁は潮風に強い材料を選びました。免震住宅であっても、見た目は通常の完全オーダーメイド住宅です。
免震住宅は「安心・安全」であり、大地震時の経済的打撃を最小限に抑える事ができるというメリットがあります。建設時の初期費用は必要となりますが、住人の安全を考えた時には、検討する価値のあるシステムだと言えるでしょう。