【 デザインの記憶を継承する耐震リフォーム 】
青森市に建つ、築30年の木造2階建て住宅です。お客様からリフォームと耐震診断調査のご依頼をいただき、現在の豊かな空間構成をそのまま生かすことを念頭に取り組みました。
屋根の形状が印象的な洋館風外観に加えて、内部もデザイン性豊かな空間が広がっています。特にリビングは、左官仕上げの内壁と木製ドア、吟味された調度品や家具が配された雰囲気のあるお部屋でした。
この豊かなリビング空間を残したままリフォームを行いたい、とお客様にお伝えすると「リフォームで、大好きなこの部屋が変わってしまうのではと不安に思っていました。専門の方にそういって頂くと、とても安心です。」と大変喜んで頂くことができ、計画の方向性が定まりました。
リビングの床に関してだけは、敷き込みカーペットで掃除が少し大変そうな印象。猫ちゃんもいるので、掃除が簡単で素足にやさしい【コルクフロア】をご提案しました。
リフォーム後のリビングです。30㎝×30㎝、厚さ5mmのコルク板を貼ったコルクフロアになりました。以前のカーペット床では掃除機をかけるしかなかったのですが、コルクフロアになってからは「クイックルワイパー」で気軽に掃除ができ、猫ちゃんの毛も簡単に取れると喜んで頂きました。
耐震リフォームとしては、個室の壁を使って補強工事を行うことで、リビングのインテリアをそのまま残しています。
内部から構造体に筋かいや金物を補強したあと、新たに石膏ボードを張って内装を一新した洋室です。
水廻りは、これからも楽しく安心して暮らせることに重点を置いて、安全安心な設備に交換。キッチンは、ガスコンロからⅠHクッキングヒーターのシステムキッチンになりました。
浴室は昔ながらのタイル壁とアルミサッシですが、サッシは二重サッシに変更。浴室用赤外線ヒーターも付け、寒い冬も浴室を暖めてから入浴できます。ヒートショック対策として、それほど高くない予算で付けられるのでおススメです。
洗面も雰囲気を残しつつ、きれいに生まれ変わりました。
リフォーム完了後、お客様とリフォーム談義に花が咲きました。
このリフォームは、一人暮らしのお母さんを気遣った息子さん(東京在住)からのお問い合わせでスタートしました。息子さんは遠方に住んでいるため、家への想いをどの様に伝え、どうやって実現していくかを検討していく中で「設計事務所に依頼する」ことを考え、当事務所を選択されたそうです。
家には沢山の想い出が詰まっています。何が大切なのかは一人ひとり違いますし、会話を通じてそれを感じ取っていく必要があります。ザザッと解体してガンガン天井や壁を張り替えてしまうのではなく、お客様の視点と設計者の視点、二つの視点でより良いリフォームを創り上げていきたいです。