【 菜園と暮らす家 】

定年を迎え、退職されたご夫婦のための住宅です。「畑で野菜を育て、食し、今日の日を団らんする」記憶の底にある懐かしく良き時代の暮らしを味わえる家です。

利便性の良い駅前の住宅地でありながら、敷地の3/4を菜園として生活を楽しみます。新しい住宅が建ち並ぶ周りの景色と、岩木山に抱かれたこの地の風景をつなぐ様に、現代風の無落雪型住宅に、昔懐かしい軒下空間を融合させた外観としています。

建物をぐるりと囲むバルコニーがつくる軒下空間。外壁には青森スギを使用し、菜園の緑や干した野菜、縁台などがよく映えています。冬にはこの軒下空間が雁木の役割を果たし、一年を通じて屋内外の緩衝地帯となります。

軒下空間は、インナーガレージや家のバックヤードとも土足で回れるようにつながっています。

玄関を入ると板土間が広がります。お茶を飲むリラックスタイムはもちろん、採れた野菜を漬けたり、トレーニングにも使えます。床材は三内丸山遺跡にも使われている、耐久性の高い青森県産のクリです。

玄関を上がってすぐ和室があり、ちょっと横になったり客間としても使うことができます。

土間には、野菜をゆでたりお茶を入れたりするための水場もあります。

家の中央には光や風の通り道となる階段があります。階段の幅は通常より広くなっていて、これは階段昇降機を将来つけられるよう配慮したものです。階段の壁仕上げと手摺は、柔らかで優しい感触の青森ヒバです。

2階は大きな屋根の下にリビングや寝室、書斎、水廻りが緩やかに目隠し壁で仕切られたオープンな空間です。現しのアカマツの梁やスギのムク床、壁は左官や土佐和紙貼りといった質感のある自然素材で仕上げています。

2階のリビングからバルコニーへの出入り口には、床に温水パネルヒーターが埋め込まれていて温かく、大きな窓からの冷気を抑えてくれます。

リビングに隣接する寝室は、障子で仕切ることができます。障子を開けると広々とした一つの大きな空間として使えます。

キッチンの奥に続いているご夫婦の書斎コーナー。

書斎からは「津軽富士」と呼ばれる美しい岩木山を正面に眺めることができます。バルコニー越しに自宅の菜園の様子も見えています。

バルコニーから見た菜園の眺め。野菜の育ち具合が一望できます。

階段スペースの裏には着替え・物干しコーナーがあり、洗面やお風呂につながっています。天井には電動式物干し竿が取り付けられて、使いやすい高さで洗濯物を干すことができます。

洗面台は、洗面器が置けるように底が平らな流しをはめ込んだオリジナルです。

洗面の小物収納棚を間仕切りにして、トイレのある脱衣コーナーが隣接しています。小物収納棚は光を通すようにガラスが入れてあります。

浴室はハーフユニットバスで、壁と天井に貼った青森ヒバの香りを楽しめるお風呂となっています。

「地産地消」をめざす青森県産材で建てた家です。青森県主催の「第1回あおもり産木造住宅コンテスト」で優秀賞を受賞しました。

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