【 朝日新聞 弘前支局 】
桜の名所として知られる弘前公園のすぐ近くにある、朝日新聞社の弘前支局です。1階に支局事務所、2階に居住部分を併設しています。
エントランスは建物の中心にあります。屋根は大きく張り出していて、荷物を抱えてガレージから出てきても雨に濡れないようになっています。
玄関前には車椅子用スロープを設置しています。雪のシーズンにも使えるようにしっかりと屋根の下に設けています。
隣接するガレージと玄関アプローチとの間はガラス壁です。ガレージのシャッターを閉めていても、ガレージの窓からの光を透過させアプローチが暗くならないようにしています。
支局の玄関ドアを入ると、ガラスに囲まれた段差のない玄関空間があります。柔らかい明るい光に満たされつつもオフィス内部を見せないような玄関で、外部の冷気の吹き込みを止める役割もあります。
編集室から玄関のガラスボックスを見たところです。構造的な力を負担させたこの玄関部分をコアとして配置することで、木造でも柱のない大きな編集室空間をつくっています。
道路に面している壁には大きな窓を設けて、編集室の明るさを確保しています。玄関のカメラ付きインターホンは、独立して床から立ち上がる支柱に取り付くデザインに。
居住部分の玄関は青森県の木であるヒバを張り、支局の事務所的な玄関とは雰囲気を変えた端正な佇まいです。
住空間は2階にあり、中心にあるリビングは大きな窓から光が降り注ぐ明るい空間です。階段室のてすり壁にもガラスを使用しています。
家族で弘前に住んでいただけるように個室を3つ用意しています。リビングの続き間として使えるような部屋もあります。
リビングに隣接して、セミオープンな対面型キッチンがあります。南面の窓からの陽光が部屋の奥まで入り、明るくて暖かなリビングダイニングです。
洗面脱衣室には、バスタオル掛けにもなる温水パネルヒーターがあります。また脱衣室に隣接して物干し場があり、洗濯物を外に出せない雪国の冬も快適に過ごすことができます。
物干し場にあるボイラースペースです。壁掛け型が給湯用、床置き型が暖房用で、どちらもに灯油で温水を作るボイラーです。ボイラー自体が熱を発生するので、物干しとボイラーを一緒にすると暖かさを利用できて合理的です。
暖房ボイラーが温水を送る系統別に、バルブを調整できるヘッダーがあります。快適に使っていただくために平面図と照合できる番号札を付けています。
外部の駐車スペースにはロードヒーティングが設置されていて、緊急の取材時にも雪搔きをせずに出動できます。建て替え後は支局へのご来訪者も増えたとお聞きしてうれしい限りです。